『国家の品格』(藤原正彦 著)(新潮社)の感想です。

 

『国家の品格』の要約・あらすじ

『国家の品格』とは、お茶の水女子大学理学部教授で数学者である、藤原正彦先生が書かれた本です。

 

日本は江戸時代に鎖国を解いてから、グローバル化が急速に進みました。

 

しかし、グローバル化により市場経済に代表される論理と合理の思考が蔓延し、情緒が失われていきました。

 

情緒は武士道精神に基づく思考で、教育によって培われます。

この情緒こそ、元来の日本人が備えていた美点でした。

 

藤原正彦先生は、「国家の品格」が失われたと現状を悲観されています。

 

そして、元来の日本人が備えていた情緒の復活を訴えています。

 

ここでいう情緒とは、

もののあわれ、桜のはかない美しさ、紅葉の繊細さ、4つの愛である家族愛、郷土愛、祖国愛、人間愛です。

 

グローバル化が進んだ現在の日本が果たすべき役割は、日本人が持つこの情緒を世界に広めることです。

 

これこそが、日本ができる人類への貢献なのだと藤原正彦先生は仰っています。

 

日本は普通の国になるべきではない、異常な国になるべきだと。

 

そのために重要なのは、教育です。

 

江戸、明治時代までは、日本の教育水準は現在よりも遙かに高く、真のエリートがたくさんいました。

 

真のエリートとは、文学、歴史、芸術、科学など、総合的な教養を身につけ、

国家のため、国民のために命を捨てる覚悟で尽力できる気概と、俗世に拘泥しない精神性を持つ人間です。

 

現在の日本の教育は、江戸、明治時代のレベルに及んでいません。

 

「国家の品格」の復活のためにも、教育水準の向上が早急に求められています。

 

以上、『国家の品格』のあらすじでした。

 

『国家の品格』は、発売から半年で265万部を売り上げた、大ベストセラー本です。

 

海外でもかなりの数が売れました。

『国家の品格』の英語版は、『The Dignity of the Nation』です。

 

しかし『国家の品格』は、批判も多いです。

内容が右よりで少々過激なものとなっているからでしょう。

 

それでも、『国家の品格』は学びの大きい本であるのは確かです。

 

以下、私が『国家の品格』を読んで、とくに刺さった内容を3つほど紹介します。

 

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『国家の品格』で刺さった3つの内容

私が『国家の品格』を読んで、とくに刺さった内容は、以下の3つです。

<『国家の品格』で刺さった内容>

・実力主義ではなく終身雇用・年功序列制度が重要

・子どもには本当に重要なことは頭ごなしに押しつけてよい

・いじめには「卑怯」を徹底的に叩き込むしかない

 

それぞれについて、『国家の品格』の引用文を紹介していきます。

実力主義ではなく終身雇用・年功序列制度が重要

世界中の人々が賛成しようと、私は徹底した実力主義には反対です。

終身雇用や年功序列を基本とした社会システムを支持します。

(中略)

そうしたシステムがベースになっていると、社会全体が穏やかで安定したものになっていきます。

安定した社会は国の底力でもあります。

実際、日本はそうやって世界第二の経済大国を作りました。

(中略)

「実力主義を導入すべきだ」と言ったらカッコ良い。

自分は凄く実力があるのにみなが正当に評価してくれない、というような意味を言外に匂わせているのですから。

したがって競争社会とか実力主義というのは、野放しにすると必要以上に浸透していきます。

究極の競争社会、実力主義社会はケダモノの社会です。

 

『国家の品格』 P25〜26より

 

現在の日本企業の多くで、終身雇用制度と年功序列制度は崩壊していると言われています。

 

私が7年間働いた、東証一部上場のIT企業(パワハラ会社)も、年功序列制度が崩壊していました。

 

50代ヒラ社員・年収400万円以下の社員がたくさんおり、40代の課長(年収600万円)が年上の社員を仕切っていました。

 

人数の少ない札幌支社でもこうでしたから、東京本社だともっと悲惨な状況だったのでしょう。

 

人事部は、この会社は年功序列制度が生きているとウソをついていました。

「今の50代は若い時は安月給で我慢したけど、今は実りを享受している」とほざいていました。

 

しかし、現実はこのザマです。

「実りを享受している」のは、上司にゴマすりをして昇進した無能な老害ばかりです。

 

こんなゴミ会社で働いても将来は無い、優秀だった私の同期はみんなこの会社を辞めていきました。

 

終身雇用制度と年功序列制度が保証されていたら、安心して働けます。

思い切った挑戦もすることができるでしょう。

 

しかし、私が辞めた会社は年功序列制度が既に崩壊しており、「頑張るのは時間のムダ」と無気力状態の社員で溢れていました。

 

上の『国家の品格』の引用文のとおり、日本が世界第二の経済大国になれたのは、終身雇用制度と年功序列制度が保証されていたからです。

 

それらが崩壊した現在、日本は経済的に衰退し、中国に追い抜かれています。

リーマンショック後、アメリカ経済は短期間で復活しましたが、日本はいまだに不況です。

 

終身雇用制度と年功序列制度は、復活するべき制度なのでしょう。

子どもには本当に重要なことは頭ごなしに押しつけてよい

本当に重要なことは、親や先生が幼いうちから押しつけないといけません。

たいていの場合、説明など不要です。

頭ごなしに押しつけてよい。

もちろん子供は、反発したり、後になって別の新しい価値観を見出すかもしれません。

それはそれでよい。

初めに何かの基準を与えないと、子供としては動きがとれないのです。

野に咲くスミレが美しいということは論理では説明できない。

モーツアルトが美しいということも論理では説明できない。

しかし、それは現実に美しい。

卑怯がいけない、ということすら論理では説明できない。

要するに、重要なことの多くが、論理では説明出来ません。

 

『国家の品格』 P49より

 

子どもを教育するとき、本当に重要なことは押しつけてOKみたいです。

 

悪いものは悪い、良いものは良い。

押しつけることで、子どもは善悪の区別を正しく理解することができるのでしょう。

 

今の子どもの個性を伸ばすゆとり教育とは、真逆の発想ですね。

 

でも今の若者は、おじさんよりも正しい判断ができていると思いますよ。

 

例えば「若者の車離れ」という言葉。

 

若者は、終身雇用制度と年功序列制度が崩壊して、会社勤めをしても将来に希望を見出せないことを知っています。

だから、自分の身を守るために、堅実に貯金をしています。

車なんて金食い虫を買っているヒマはありません。

若者は将来をよく考えて、車を買わないのです。

その結果、「若者の車離れ」が進んだのです。

 

妥当な状況だと思います。

 

『国家の品格』は子どもの教育に熱を上げていますが、本当に教育するのは大人ではないでしょうか。

 

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いじめには「卑怯」を徹底的に叩き込むしかない

いじめに対して何をすべきか。

カウンセラーを置く、などという対症療法より、武士道精神にのっとって「卑怯」を教えないといけない。

(中略)

「大勢で一人をやっつけることは文句なしに卑怯である」ということを、叩き込まないといけない。

たとえ、いじめている側の子供たちが清く正しく美しくて、いじめられている側がひん曲がった大嘘つきだったとしても、です。

「そんな奴なら大勢で制裁していいじゃないか」というのは論理の話。

「卑怯」というのはそういう論理を超越して、とにかく「駄目だから駄目だ」ということです。

この世の中には、論理に乗らないが大切なことがある。

それを徹底的に叩き込むしかありません。

いじめをするような卑怯者は生きる価値すらない、ということをとことん叩き込むのです。

 

『国家の品格』 P63〜64より

 

私が辞めたパワハラ会社の人間どもらに、上の『国家の品格』を読ませてやりたいですね。

 

私が北大大学院を卒業後に入社した東証一部上場のIT企業は、パワハラまみれのブラック企業でした。

 

新人研修なのに、先輩が一切教えてくれない。

質問したらブチ切れて、個室に連れ込んで怒鳴る。

あまりのパワハラに耐えかねて抵抗したら、今度は主任を連れてきて攻撃してくる。

その主任は「100%お前が悪い」と断言した。

 

パワハラの一例を示しましたが、このようなことが日常茶飯事でした。

 

トドメに、仕事を1年近く与えられず放置され、最低評価の人事評価を一方的に付けられるパワハラを受けました。

 

それを人事部に訴えたら逆に圧力をかけられ、私は会社を追い出されました。

 

大人でも、イジメを平気でやります。

子どもだけじゃありません。

 

『国家の品格』は子どもの教育に主点を置いていますが、大人も教育するべきです。

 

社内で下らないイジメに走っているようじゃ、会社は衰退するでしょう。

日本が経済的に繁栄するためにも、老害に『国家の品格』を読ませるべきだと私は思います。

 

以上、『国家の品格』(藤原正彦 著)(新潮社)の感想でした。

 

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