『傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学』(夏井睦 著)(光文社新書)の感想です。

 

『傷はぜったい消毒するな』の要約

『傷はぜったい消毒するな』とは、石岡第一病院傷の治療センター長である夏井睦先生が書かれた本です。

 

夏井睦先生は、「湿潤療法」を確立された形成外科医です。

 

通常はケガをしたら、消毒薬をかけて傷口を乾燥させ治しますよね。

これは、学校やマスコミで教えられている傷の治し方だと思います。

 

しかし、夏井睦先生によると、消毒は「傷口に熱湯をかけるような行為」なのだそうです。

傷は、消毒をせず、乾燥もさせないようにすれば、痛まず、早く、しかもきれいに治るのだそうです。

 

この傷口の消毒なし、乾燥させない治療方法を「湿潤療法」といいます。

 

次項にて、「湿潤療法」で傷が治る理由と、そのやり方について紹介します。

 

『傷はぜったい消毒するな』では、「湿潤療法」以外にも、シャンプー不要論が物議を醸しています。

 

著者の夏井睦先生によると、人の皮膚から分泌される物質はすべて温水で溶けるので、シャンプーは不要だとか。

 

また、皮膚には皮膚常在菌という菌があり、これが皮膚を清潔にガードしてくれています。

 

しかしシャンプーをすると、強力な界面活性剤が皮膚常在菌を洗い流してしまい、さまざまな細菌が繁殖するようになり、臭いの原因となります。

 

シャンプーをすると必要な皮脂も洗い流されるため、さらに多くの皮脂が分泌され、頭皮がベトベトになる原因にもなります。

 

私も、お風呂に入ったのにも関わらず、翌朝に枕カバーが頭皮でベトベトになりますが、これはシャンプーのやり過ぎが原因なのでしょう。

 

角質も損傷を受け、それを修復しようと皮膚の新陳代謝が活発になり、フケの原因にもなります。

 

以上の理由から、『傷はぜったい消毒するな』では、シャンプーを否定しています。

 

ほぼ100パーセントの人が、毎日のようにシャンプーをするはずです。

 

そのため、『傷はぜったい消毒するな』に対して、Amazonや読書メーターなどのレビューで反論している人が多いです。

 

私は『傷はぜったい消毒するな』の考えを支持しますが、この辺は自己判断でお願いします。

『傷はぜったい消毒するな』で学んだ3つの内容

私が『傷はぜったい消毒するな』で学んだ内容を、3つに厳選して紹介します。

<『傷はぜったい消毒するな』で学んだ3つの内容>

・傷が治る正しいメカニズム

・「湿潤療法」のやり方

・湿潤療法はハイドロコロイドやプラスモイストを利用する

 

それぞれについて、説明していきます。

傷が治る正しいメカニズム

 

皮膚の細胞を乾燥状態に置くとすぐに死滅する。

真皮や肉芽は本来は非常に血流に富んだ丈夫な組織なのだが、乾燥させるとやはりあっけなく死んでしまう。

皮膚の細胞でなくても、神経細胞だろうが腸上皮細胞だろうが、乾燥状態で死滅しない人体細胞はないのだ。

(中略)

だから、傷口を乾燥させると皮膚の細胞も真皮組織も肉芽組織も死んでしまう。

そして死んだ人間が生き返ることがないように、一旦死んだ細胞も蘇ることはなく死骸になる。

それがカサブタだ。

つまり傷の上にできるカサブタとは、乾燥して死に、ミイラになったようなものだ。

(中略)

逆に傷を乾かさないようにすれば、真皮も肉芽も、その上を移動する皮膚細胞も元気いっぱいだ。

その結果、傷の表面は新たに増えた皮膚細胞で覆われ、皮膚が再生することになる。

 

『傷はぜったい消毒するな』 P25〜26より

 

傷を乾燥させるとカサブタができますが、これは傷が治っている証拠ではありません。

 

カサブタは、皮膚の細胞、真皮組織、肉芽組織が死んでミイラになったものです。

カサブタは、作ってはいけないものだと言えます。

 

傷は乾燥させず、真皮層や肉芽の治癒能力に任せておけばOKです。

ただし、傷口に付着した泥や汚れは、水で洗い流してください。

 

次に、「湿潤療法」のやり方を紹介します。

「湿潤療法」のやり方

「水を通さないもの、空気を通さないもの」で傷口を覆ってやるだけでよい。

なぜかというと、傷口からは傷を治すための最強の液体が常に分泌されているからだ。

それが「細胞成長因子」という生理活性物質である。

膝小僧を擦りむいた時、傷口がジュクジュクしてこなかっただろうか。

このジュクジュクは何か、という研究が始まったのが一九五〇年代で、このジュクジュクと出てくる滲出液は細胞成長因子と呼ばれる物質を含み、その物質は傷を治すための成分だったのだ。

 

『傷はぜったい消毒するな』 P27より

 

ケガをすると、皮膚の真皮層や肉芽から、ジュクジュクが出てきます。

この滲出液が、傷を治しているのです。

 

湿潤療法では、傷を滲出液で満たします。

そのために、「水を通さないもの、空気を通さないもの」で傷口を覆います。

 

「水を通さないもの、空気を通さないもの」として、ハイドロコロイドやプラスモイストが素材となった創傷被覆材を使います。

 

次に、ハイドロコロイドやプラスモイストの創傷被覆材を紹介します。

湿潤療法はハイドロコロイドやプラスモイストを利用する

①傷にくっつかない

②滲出液(=細胞成長因子)を外に逃さない

もちろんこれでいいのだが、さらにもう一つ。

③ある程度水分(滲出液)吸収能力がある。

という条件が加わればベストである。

なぜ、水分吸収能力が必要かといえば、それがないと傷周囲の皮膚に汗疹ができたり、膿痂疹(いわゆる「とびひ」)ができたりするのだ。

(中略)

この三つの条件を満たした治療材料を「創傷被覆材」といい、一九八〇年代から病院での傷や褥瘡(床ずれ)の治療に使われ始めている。

その一つがハイドロコロイドという素材で、現在、「キズパワーパッド」という商品名でドラッグストアなどで販売されている。

また、「プラスモイスト」という治療材料もこの三つの条件を兼ね備えており、しかも値段がハイドロコロイドよりも安価であり、調剤薬局の店頭やインターネットで購入できる。

水分吸収能力という点ではプラスモイストはハイドロコロイドをはるかにしのいでおり、素人が傷の治療に使用してもまず失敗することがなく、安心して使える治療材料である。

 

『傷はぜったい消毒するな』 P31〜32より

 

ハイドロコロイドを使った、「キズパワーパッド」はAmazonでも販売されています。

 

こちらです。

 

 

プラスモイストを使った創傷被覆材も、Amazonで販売されています。

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ケガをしたら、傷口の汚れを洗い流し、これらの創傷被覆材を使い、湿潤療法を試してみましょう。

 

以上、『傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学』(夏井睦 著)(光文社新書)の感想でした。

 

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